病院組織人事コンサルティング「中小病院の人事制度設計」vol.02 各階層に求められる役割・成果

病院組織人事コンサルティング

戦略を実行できる「組織」をつくる

各階層に期待される役割・成果とモチベーション

2019.02.05

  • 人事制度を整備する際は、まず等級制度を見直すことから始まります。

  • 等級制度というのは、能力、職務、役割などの一定に基準に基づいて職員を区分・序列化する仕組みです。

  • 前回、「役職者に求める役割と成果を定義することが重要」と述べました。これを仕組みに落とし込んだものが等級制度です。

 

詳しく知りたい

 

求める役割と成果を仕組みに落とし込む

例えば、貴院の役職者に対して「あなたの役割は何ですか?」と尋ねると、どのような答えが返ってくるでしょうか。

求める役割と成果が定義され、十分に浸透・理解されている組織であれば、明確な答えが返ってくるはずです。

しかし、そうでない組織では、「わからない」という回答や、同じ階層でも異なる回答が返ってくることも少なくありません。

組織実行力を高めるためには、まず何をすべきかを示さなくてはいけません。

今回は、「中小病院において、各階層に求められる役割や成果」をテーマに、ポイントをご紹介します。

 

トップの考えを明文化し、それを実現する

病院組織人事コンサルティング

人事制度とは、目指したい組織を実現する為の経営ツールです。

ビジョンや方針がなければ、人事制度を構築することはできません。

  • 私たちは誰にどのように貢献するのか?
  • 私たちの目指す未来のありたい姿とは?
  • 私たちが大切にしたい考え方や行動とは?

トップの考えを明文化し、それを実現するための人事制度を考えていきます。

 

トップは、ビジョンと方針を示す

トップはビジョンや方針を打ち出し、職員の動機づけや方向づけをしていきます。動機づけや方向づけをできるビジョンとは、次のようなビジョンです。

  • 未来志向であること
  • 外に向けられたものであること
  • 明快であること

人が動機づけられるのは、過去や現在の問題点ではなく、将来に対する強烈なイメージです。

NASAのアポロ計画が実現したのは、「1960年代中に人類を月に立たせる」という強烈な未来へのイメージがあったからだと言われています。病院経営においても将来目指す姿をイメージできるビジョンが必要です。

そのビジョンが自分中心であったり、経営者の利益を目的としたものでは、職員はついてきません。広く社会や顧客に貢献する、ロマンあふれるビジョンに人は惹かれるのです。

さらに、シンプルでわかりやすい表現でなければ、職員には伝わりません。

 

幹部(部長級)は、戦略を策定し事業を推進する

幹部(部長級)は、トップが描いたビジョンが実現するように戦略を組み立て、事業を推進していきます。

人口動態や医療政策などの外部環境や、ヒト・モノ・カネなどの内部環境に常日頃から目を配り、採るべき戦略を明確にします。

また、現場の動きと各指標の推移を把握し、経営者の代理人として理念・ビジョンを浸透し、事業を推進していきます。

松下幸之助、井深大、盛田昭夫、本田宗一郎、稲盛和夫など、偉大な経営者はみな思想家であり、経営哲学がありました。経営者の役割とは、哲学を語り、人事制度の隅々にまで想いを込め、「これで本当にビジョンを実現できるのか」と考え続けることではないでしょうか。

 

管理職は、ビジョン・戦略をもとに組織を運営する

戦略を計画(戦術)レベルに落とし込む

病院組織人事コンサルティング管理職(師長・課長級)にとって大きな役割は、まず、戦略を戦術に落とし込んで行くこと。目標と計画を設定していくことです。

中間管理職は、人事制度においては最もキーになる層です。トップのビジョン、幹部の策定した戦略が組織に浸透するための重要な機能です。

管理職(師長・課長級)の役割は大きく分けて以下の2つあります。

  • 各部署の重要指標の達成
  • 管理職としての行動特性

「各部署の重要指標の達成」とは、戦略に対する具体的な戦術目標の設定・進捗管理です。例えば戦略目標の利益率に対して、戦術目標である病床利用率を設定して進捗管理をします。

「行動特性」とは、人材を育成している、他部門と連携している、業務を円滑にするためのコミュニケーションが取れているなど、管理職として求められる行動の実践です。

 

管理職に求められる能力

管理職には、戦略に基づき正しく目標設定をするための「目標設定能力」や「ロジカルシンキング」が必要です。

また中間管理職としての意見調整や、議論をスムーズに進行するための「ファシリテート能力」、部下を動機付けて推進力を増すための「コーチング能力」、「フィードバック能力」などが求められます。

中間管理職層の役割や権限は曖昧になりがちです。役割と権限の一覧を明示し、やるべきこと、やれることを明確にすることが、実行力を高めるスタートラインです。実績に連動した形の賞与を支給するなど、モチベーションを高める工夫も必要でしょう。

 

ビジョン・戦略に沿って、戦術・現場の業務を推進する

監督職(主任級)は、プレイヤーかつ戦術推進のリーダーシップ

病院組織人事コンサルティングビジョン・戦略に沿って、現場の業務を推進するリーダーシップを取ることが、監督職の役割です。

監督職(主任クラス)は総じて自身の役割を把握できておらず、一般職と同じ仕事を担当しているだけのケースが散見されます。

管理職と同じように、役割と権限を明示してあげると良いでしょう。

戦術を実行する際に、リーダーシップを取って推進していくのが監督職です。

役職手当で待遇に差をつけるとともに、専門的な能力開発や、委員会活動等での貢献など、手当や昇給ではなく、表彰という形で報いてあげることもポイントです。「チャレンジ」に対して承認と処遇を行うことが、実行力を高めるために重要なのです。

 

一般職は、戦術に対して「協力的」に実行する

一般職の役割は、ビジョン・戦略に沿って、戦術に対して「協力的」に実行することです。

「協力的」とはどういうことか、「貢献度が高い」とはどういうことか、期待する職員像を明確にしていきます。

  • チャレンジ
  • チームワーク
  • 責任感
  • 顧客志向
  • 部門目標達成への貢献度
  • 仕事の質
  • 仕事のスピード

 

まとめ モチベーション高く「実行」するための仕組み

トップのビジョンをもとに、戦略を策定し、戦術目標を定め、全員で「実行」していく。

そのためには、モチベーション高く「実行」するための仕組みが必要です。

等級制度・人事評価制度・処遇制度といった制度から入るのではなく、各階層にどんな役割を期待するのか、どんな権限を与えるのか、どのように酬いればモチベーションが高まるのか、仕事を通じてどのように育てるのか。

組織や人材への考え方を明確にすることから入ると、筋の通ったものになるでしょう。

日本経営の人事制度コンサルティングは、「実行力」の高い組織作りをサポートして参ります。

 

提案依頼は「こちら」から

 

レポートの執筆者

中野翔太中野翔太(なかの しょうた)
株式会社 日本経営 組織人事コンサルタント


中小企業、医療福祉機関のクライアントを対象とした人事制度設計、人材開発、組織開発、キャリア開発など、組織人事領域に関するコンサルティング業務に幅広く従事。全国の病院協会、医師会、金融機関等での講演も多数。

 

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